イクメンを支援する両立支援等助成金・出生時両立支援コースとは?
近年は夫婦共働きが一般化したため、子供ができた時の育児に関しては妻だけではなく、夫の役割分担も重要になっています。
そこで、男性の「育児休暇」の取得が社会的な課題になっており、「イクメン」という言葉も定着しています。
そうなると、カギを握るのが事業者の理解と、男性でも育児休暇の取れるような社内環境です。実は、男性従業員のための育児休暇の制度を設ける企業に対する助成制度があり、それが「両立支援等助成金・出生時両立支援コース」です。
出生時両立支援コース
出生時両立支援コースとは、男性労働者が育児休暇を取得しやすい職場作りを推進するための助成金です。子供の出生後、8週間以内に育児休暇を取得させた事業主が助成の対象となります。
受給要件
主な受給要件は以下になります。
- 対象となる男性労働者が子供の出生後8週間以内に、連続して14日以上(中小企業は5日以上)の育児休暇を取得する。
- 事業主が「一般事業主行動計画」を策定し、育児休暇を取得しやすい職場風土を構築する。
- 過去3年以内に男性労働者に対し、連続した14日以上(中小企業は5日以上)の育児休暇を取得させていない。
中小企業における5日の育児休暇には所定休日等(土日曜、会社の休業日)が含まれていても構いませんが、最低1日は所定労働日(出勤日)でなければなりません(年次有給休暇とは別)。
また、「職場風土」としては以下の3つのことが必要です。
- 男性社員に対する育児休暇制度の利用促進のための資料等の周知
- 管理職から子供が生まれた男性社員への育児休暇取得の勧奨
- 男性社員の育児休暇取得における管理職向け研修の実施
一般事業主行動計画
一般事業主行動計画とは、「次世代育成支援対策推進法」に基づき、労働者の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画のことであり、育児休暇の取得に向けた労働条件の整備に対する取組を定めたものです。
具体的には、計画期間・目標・目標実現に向けた対策・実施時期などを明確にします。
支給額
1年間に育児休暇取得者1人が対象となり、最初の1人目の取得者が出ると中小企業には57万円、それ以外の企業には28万5,000円の助成金が支給されます。
翌年度以降に対象取得者が生じた場合、支給額は14万2,500円になります。なお、対象は事業主のため、複数の事業所で育児休暇取得者がいたとしても、1事業主当り1人分しか支給されません。
助成金の支給停止
以下のことがあると、助成金の支給が取り消されます。
- 支給申請日の過去1年間に次世代育成支援対策推進法や育児・介護休業法、男女雇用機会均等法などの労働関係法令に対する重大な違反行為がある。
- 支給申請時点で育児・介護休業法に違反して助言や指導を受けていたが是正されていない。
- 助成金の申請にあたり、故意に支給申請書に虚偽の記載や実態と異なる偽りの証明を行う。
申請手続
支給の申請は育児休暇の開始日から起算して14日(中小企業は5日)を経過する日の翌日から2ヶ月以内に、「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)支給申請書」と必要書類を労働局に提出します。
くるみん
次世代育成支援対策推進法には、従業員の仕事と子育ての両立のための行動計画を策定・実施し、その結果が一定の要件を満たした企業を認定する制度として「くるみん」があります。
くるみんの認定の流れ
- 自社の現状や従業員のニーズを把握した上で行動計画を策定する(行動計画は2年以上5年以下)。
- 行動計画を公表し、従業員に周知する。
- 行動計画を実施する。
- 目標達成後、労働局にくるみんの認定を申請し、「くるみんマーク」の付与を受ける。
また、毎年最低1回は次世代育成支援対策の実施状況を公表し、両立支援の取組を進展させると、さらに優良な子育てサポート企業の証である「プラチナくるみん」の認定を受けることもできます。
現在はまだイクメンの数は微々たるものですが、今後ニーズの広がりとともにイクメンの数の増加が見込まれます。ちなみに、同じような名前の「育児休業等支援コース」がありますが、こちらは育児休暇を取得し、職場復帰をさせた事業主(中小企業のみ)に支給されるものです。
このようにイクメンを支援する助成金が出ることで企業も男性の育児休暇を認めやすくなります。
イクメンの言葉が定着していますが、イクメンの中にもギャンブルでお金借りることに必死になり、家庭を考えないイクメンがいるのも事実です。
育児休暇中は子供を第一に考え、しっかりと夫婦でサポートするのが大切な事です。